忍者ブログ



美しいデザインや正しい省エネ技術は 恒久性能の一部です。
[261]  [260]  [259]  [258]  [257]  [256]  [255]  [254]  [253]  [252]  [251
日本の林業の生産性は欧州の20分の1!なんて記事を紹介いたしましたら
国内林産業の問題は何だろう?とコメントいただきました。ありがとうございます ,,orz

コメ欄では長すぎたので こちらに^^
またしてもクダラン戯言ですので お許し下さい。

実際 林業の衰退を考えると「卵が先かニワトリが先か」理論になってしまうので
簡単ではありませんが カテゴリー別に書き散らかしてみたいと思います。

以下 目次とします(無意味に長いす・・ごめんなさい)

1) 林業従事者の低収入
2) 林産業関係者の怠慢 
3) 建築基準の強化は木材業界にとって悪法か
4) 林業を環境や防災と繋げられないのか
5) 政府は何をしたか&現状と今後
6) 小さい政府は日本に馴染むか
7) 地方はどうすれば良いのか
8) 現在の状況を打破する為には何が必要か

1) 林業従事者の低収入

日本の木材の価格低迷から 確実に林業に携わる方の収入は減っています。
従事者数そのものが減っているにも関わらず 賃金ベースも減っているのです。

これは一定の規模・効率化を進めないと産業として成り立たない事を現わしています。

先日も 知人が林業関係から手を引きました。

知人曰く 「 仕事は好きだけど 子供と嫁を養えない 」との事。
危険と隣り合わせの仕事に対する報酬としては 低すぎると言わざるを得ません。

従業員としては 仕事は好きだけど → 給料安すぎ → 職替え~となり
経営者からすれば 仕事はあるけど → 木材が安い → 売っても金にならない → 給料払えない
~と言う雇用そのモノすら 負のスパイラルが増長している事に他ならないでしょう。

逆に 日本の木材の値段を上げるとどうなるか。
日本の木材が高い → 消費者は高い物を買ってくれない → 海外の方が安ければそちらを買う。

ご存知 これが今の日本の現状です。
鍵を握るのは消費者と言えますが 消費者だって余るほどお金持ってる訳ではありません。

2) 林産業関係者の怠慢 

本当に日本の林業の生産性は欧州の1/20なのか。
・・あながち それ以下かも知れません。

以前 カナダの木材伐採を視察に行った事があるのですが 大きなローダーが一台
切り立った山を自走して 伐採・枝払い・玉切り・トラックへの搬送を行っていました。

一台ですよ。

日本だと3~4人で一日掛かる仕事を オペレーター1人が20分も掛からず
やってのけるのです

もちろん育林・伐採の一連の作業は国策として その後の植林もワンセットです。

近年の日本では 小泉政権下・構造改革の名の元に間伐(育林)への助成が抑制され
結果 山は荒れ 仮に間伐出来ても そこに放って置く事が精一杯。
その流れは加速し現在も続いています。

そもそも論で言えば '56年に森林開発公団(緑資源機構に移管後廃止)が設立され
日本の山を活性化する名目で 人工林の増加を志す構想があった訳ですが
その後の復興により 結局行われたのは「植林」だけで 伐採・下刈り・間伐助成金は無し。
植えるだけ植えて 後は自分達で勝手にやりなさいと?

林産業者にしてみればハシゴ掛けてもらって上がったら そのハシゴを取られた状態です。
国の無策が 数十年経って露呈されてしまった形です。

ただ それを国のせいだけにしても良いモノかと。

「山は男の職場だ」と言わんばかりに これまで機械化・システム化を拒んで来なかったか。
儲かってた頃の怠慢が無かったか。
オンブにダッコ~あまりに国に頼りすぎて居なかったか。

この辺り建築関連に限って言えば 木材の「グレーディング」にも現れていると思います。

木は目を見て使う場所を決める」なんて ミラクルに神業的な話を聞いた事が無いですか?
木材は山に生えていた方角通りに使い家を建てる」なんて 見事にカルト将軍様的な思想に
納得した事がありませんか?

信憑性はさておき それはそれで良いと思います。否定もしません。
ただし それはあくまで「勘」であり「経験」の粋を出ず「計算」には乗ってきません。

法隆寺や五重の塔を否定するつもりは全くありません。
しかし一般の住宅には必ず「予算」が存在し 「住まう方への安全担保」が必要でしょう。

一部の心無い建築業者の為に今 建築基準は法律として指針としてガンジガラメになっています。
現在の「長期優良」や「性能表示」に関わらず 「勘」による建築は既に過去の遺物と言えます

この辺は なんでも「国の責任」にし「自己責任を放棄してしまった」消費者のツケかも知れません。
しかしその「法の傘」のお陰で ある一定以上の性能を手にする事が担保されると言う恩恵を
受ける事が出来るようになりました。

その「傘」の整合性が正しいかどうかは ここでは触れませんが(謎

ごめんなさい。話が逸れました。

木材のグレーディングとは ヤング係数(木材の強度)や含水率などを等級化する事で
その木材の強さが数字として明記されている事を指します。

使う材料一本一本に性能をラベリングしていく作業で ちょっと難しい建物だと
しっかりグレーディングされ強度が確定した木材で無いと 怖くて使えないのが現状です。

と言うか見なし強度では「計算」に乗ってきません。イコール家を建てる事が出来なくなる訳です。
4号特例建築物で 構造計算って何?あんなもん必要無い!なんてのは問題外ですが。

ちなみに「型枠建築」だなんて卑下される(笑)アメリカのツーバイに使用されるランバーは
古くから等級付けしてあります。 かたや木の国-日本の現状はどうでしょう。
(※ちなみに"Jグレード"と言うランクは 見た目の話で強度には関係ありません)

その辺り「職人の技術」だと目を背けていませんでしたか?って事です。

こんな事 少しでも足を突っ込めば無条件に「檜は杉より強い」なんて事は言えなくなるハズで
ちなみに地場産でグレーディングしてある材料は・・ありません。
遠くに運んで検査して・・予算が間に合いません。

3) 建築基準の強化は木材業界にとって悪法か

ご質問にもありましたが 近年の木造構造指針にて面材(合板)による壁耐力ばかり
優遇されている~と言う話を業界内でも良く耳にします。

これは確実に実験データで釘本数から強度まで出ているので いかんともし難い事実です。
そこを非難するのは 業界人としてオカド違いとすら思えます。

特に木材関係者の中には いかにも合板・積層材は悪!無垢材は正義!と言う
風潮のヒトが居ますが どちらも木材ですよ?

早くに エンジニアウッドの効率・合板・金物活用への販路を見出した企業は
ちゃんと元気に存続しているハズです。(もちろん海外材に押されていますが・・)

ここではエンジニアウッド等々の是非・適材適所関連はスルーします。

実際 日本の建築をダメにしたのは3尺壁の一寸厚筋交いを認めた事にあるとも考えています。
昔の飛騨の家には「力貫」と言う柱と同角の横架材が存在し 筋交いも45度で入っていたのです。

ただし計算上強いとされる面材による壁量確保には 結露等これまで知りえなかった危険も
潜んでいますので これまでと同じ感覚で家を造ると別の問題が生じる事も
問題提起しておきます。

同じ工法に見えても性格が全く異なる訳です。その辺が造り手「技術の質」ですね。

それらを踏まえ 木材の伐採から搬出・販売ルートまで 全てをシステム化し
一連の流通効率を高める事
が 国内の足の引っ張りあいのみならず
海外材に負けない為の最低条件かと考えます。

その予算は?方法は?それはまた後ほど^^

4) 林業を環境や防災と繋げられないのか

この辺が現在の林業再生に対する 一番の打開策と考えます。

現在のグローバルウォーミング問題に絡め 林業を単なるノスタルジーだと位置づけず
広い視野で国策・自治体策としてしまうべきかと思っています。

あくまで「林業と言う過去の産業を守る」と言うスタンスでは無く
「中長期に広い視野で林業をひとつの基軸産業に育てる」的な意味合いでの話です


グローバルウォーミングはIPCC疑惑もあり 懐疑論が横行していますが
これまでに無かった気候変動として局所的な干ばつや大雨・洪水 猛暑や豪雪など
各所で起こっているのも事実で ヒトの力の無力さを痛感させてくれます。

それらも絡めて考えると言うシタタカサも必要かなって。全ては繋がっています。

例えば 大雨による土砂崩れ。

これは切り立った山が多い日本にとって 特に地方にとっては隣り合わせの災害ですが
崩れた山を見ると その殆どが人工林であり針葉樹だけの山です。

間伐を行えず 山肌に陽がささなくなった山の保水力は 日に日に落ちていきます。
手入れが行われていない人工林は いま死ぬ寸前と言って良いでしょう。

その山からの土砂崩れによる道路寸断は 地域住民の命に関わる人災です。
そぅ 天災では無く人災だと言えます

良く道路沿いで 崩れた山をコンクリートで砂防している現場を見受けますが
その上の山肌は 手入れされていない人工林で 山肌には陽すらさしていません。

そんな山 またすぐ崩れまっせ?

まずは山の保水力・樹木の地盤保持力を高める事が先かと思えてならないのです。
砂防・土石対策が「頭隠して尻かくさず」になっていませんか。

と言う訳で 防災としての「山の保全」に税金を継ぎ込む事はイケない事なのでしょうか。

水資源や生物多様性を含む「山の環境」を整備する事は無駄な事ですか。

気候変動対策を名目にして 山に税金を継ぎ込む事は詐欺ですか。

もちろん税金も余っている訳ではありませんし そんな短絡的な思想では納得も得られないでしょう。
また資金を入れたとしてその流れも重要です。

と・・あまりに長くなってしまったので 続きは明日にでも^^

って訳で 続きはこちら  

この記事にコメントする
お名前
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
書きましたねぇ~。
GWなんて関係無い!って感じでお仕事…。
ん?もしかして飛騨の山奥ってカレンダーが余所と違うとか…?

日本の林業は、行政でも戦略会議を作ったりして必死に再生の道を模索しているようですが、
「こしひかり」じゃないですけど、良さげな材料を買い集めてきて、
吉野で売ったら「はぃ、吉野材」みたいなことを未だにやってるようじゃ、ま、明日は無いっすね。

こっちの県でも、「優良木材」とか言って県産材補助制度があるんですけど、お役所が認定した指定工場から優良県産材のシールが貼ってある材料とると、補助金もらえるんですよ。

でも、その「優良」木材の「優良さ」って言ったら、そりゃぁもう、悲しくなるくらい「非優良」だったりするわけですよ。

消費者は、
「我が家は行政お墨付きの優良木材の家」
ってルンルンなんでしょうけど、
本当の意味で懐がルンルンの人たちは、どっか誰も見ていないところでほくそ笑んでるんでしょうねぃ…溜息。
富士山 2010/05/07(Fri)08:39:53 編集
オー フジヤマー ゲイシャー スシー テーンプラー ←なんだそれ ;
何かWRCの良い香りがすると思ったら富士山さん^^
オールドグロスいーだろ見学会今週ですね。行きます←来るなよ(笑

ちなみに飛騨の山奥にもカレンダーあります 3年遅れてるだけで(をぃ
GWはですね・・現場は全部止めたんですけどね はは・・はぅ。

>でも、その「優良」木材の「優良さ」って言ったら、そりゃぁもう、悲しくなるくらい

あぃやぁ その手がありましたか。何か本質見失ってますね(涙
こちらにも県産材を使おう補助はありますが とりあえず「県産材」なら何でも良い。
景気対策です。と中々潔いトコが素敵です。価格と品質は振り幅が・・ですが(笑
一時の鎮痛剤にならないよう願ってはいますです。はぃ。
ハレル屋@アイズ URL 2010/05/07(Fri)13:41:29 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
こんにちは。
HN:
Eye's @ オカダ
性別:
男性
自己紹介:
アイコン、くっ てしてますがw

【 ハウジングアイズ 】では、飛騨高山にてパッシブな高断熱思想を用いて、恒久的な省エネ快適住宅を御提案しております。

豊かな自然に恵まれたこの飛騨を、もっと住みやすく楽しくw そして笑顔と技術を全国へ。

MAIL = infoあっとhousingeyes.com
ふぉろーみぃ
最新コメント
[09/22  ハレルヤ@あいず]
[09/21  あおはる]
[02/06  ハレル屋@あぃず]
[02/06  可愛いおくさん♡]
[08/23  ハレル屋@あいず]
ブログ内検索
最新トラックバック
アーカイブ
忍者ブログ [PR]
PR